こんにちは!ウーマンネット事務局です。
今回は、以前からウーマンネットのイベントやセミナー等にご参加いただき、今年「Over80女性のアパレルブランドFUKUFUKU-YA」をオープンされた深津さんにこれまでの軌跡や起業に必要なスキルなどインタビューさせていただきましたのでご紹介します。特にこれから起業される予定の方、起業したいと考えている方、是非参考にされてみてください。
質問1:開業されたきっかけは何ですか?
岐阜県の高齢者住宅で暮らす現在92歳の母の洋服探しに困り果てたのがそもそもの始まりです。
女性は85歳前後から急激に体型が変化して、それまで着ていた服が身体にフィットしなくなります。母も例外ではありませんでした。施設入居後も身だしなみを整えたいという「女ゴコロ」を持ち続けた母は、着づらくなった服に代わる、着やすい新しい服を求めました。出歩くのがままならない母に代わり、洋服を探し求めて歩いたのが娘の私でした。ところが、これが簡単ではありませんでした。
ようやく「まあまあの服」を見つけ、母のところに届けると、娘の私の手前「ありがとう」と笑顔で服を受け取るのですが、後に施設のスタッフからこんな話を聞かされたのです。
「お母さんは、娘さんが届けた服をハサミで小さく切ってしまい、新聞紙に包んで分からないようにそっと捨てていますよ」
ショックでした。
気に入ってくれるかしらと服を用意した私も、ワクワクと心待ちにしていた母も、それぞれに期待外れの結果に切ない想いをする。そんなことを何度か繰り返していたのです。
周囲に聞くと、母親の服を用意する立場の50~60代女性の多くが同じような悩みを抱えていました。必要とされているのになかなか見つからない。だったら、「自分で作るしかない!」起業ジャーニーのスタートでした。
質問2:なぜこの仕事を選びましたか?
もともとは雑誌を中心としたフリーライターです。ビジネスともアパレルとも縁のないところで長く仕事を続けてきましたが、経験の有無は、強い起業動機がありましたので、決意を鈍らせる理由にはなりませんでした。現在も、ライターとビジネスのパラレルワーカーとして両立しています。
質問3:開業資金はどのくらい準備しましたか?
自己資金は約100万円。加えて、開業年である2020年度の小規模事業者持続化補助金の事業者に採択され、約70万円の補助金を受給予定です。開業年事業者対象の上限100万円を申請しなかったことについては、今も大後悔しています(涙)。
質問4:ネットショップを経営する上でのチャレンジはなんですか?
ネットショップは埋もれてしまうリスクを常に抱えています。どう見つけてもらうか、アクセスしてもらうかは運営者の共通課題でしょう。SNSが認知拡大の基本ツールとされていますが、起爆剤となるような仕掛けが重要だと認識しており、ひとつとしてクラウドファンディング実施を計画しています。また、マスメディアを通した広報についても可能性を模索中です。
質問5:過去最大の壁はなんでしたか?どうやって乗り越えましたか?
壁は常に立ちはだかっており、ひとつを選ぶのは難しいのですが・・・。
例えば、初期のころ、ビジネススキルについてはセミナー等をフル活用して学ぶことが出来ましたが、プロダクトについては手がかりが得られず停滞したままでした。
何を、どこに、どう発注するのか――頭を抱える中、あるご縁から「東京ラブストーリー」「ひとつ屋根の下で」などのスタイリングを手がけたベテランスタイリスト・棚橋公子さんがサポートしてくださることになり、一気に動き出しました。棚橋さんは、今も心強いアドバイザーです。
つまるところ、人との「縁」が強力な武器になると、節目節目で実感しています。
質問6: やっていて楽しいと思う、モチベーションになることはなんですか?
何といっても購入者、ユーザーからいただく「声」です。
「母がすごく喜んでくれた」「楽しそうに母があれこれコーデを始めた」「こういうのが欲しかった」そんなお声を聞くと、ものすごく力になります。単に服という「モノ」を届けるのではなく、「着る喜び」も届ける事業だと思っていますから。
とりわけ、プレゼントした実母が、ここ何年も見せたことがなかった大きな笑顔で喜んでくれたことは忘れられません。
質問7:起業するときに必要なスキルはなんですか?
事業計画書の策定が基本だと思います。数字が苦手な私は、最初は「なくてもいいだろう」と逃げ腰でした。しかし、東京創業ステーション主催の「女性起業ゼミ」に参加し、2カ月にわたり「ビジネスとは何たるか」を基本から丁寧に教えていただいたことで策定することができました。実際に事業を始めると、さまざまなタイミングでこの事業計画書が拠り所になり、助けられています。
質問8:これから起業する方へのメッセージをお願いします。
私の場合、当初ビジネス常識を持ち合わせず、ゼロどころかマイナスからのスタートでした。
今もそれはあまり変わっていないかもしれません。が、とにかく諦めないことだと肝に銘じています。「しつこさ」が私のモットーです。分からないことは素直に「わからない」と言って教えを請い、「謙虚さ」と「どん欲さ」を持ち続ける。すると、不思議とご縁がつながり、道が開けます。
そして、情報や刺激を共有できる仲間を見つけることが起業には非常に大切、不可欠だと思っています。仲間の存在は大きな推進力になります。オープンマインドで、ぜひ見つけてください。